つくばチャレンジ2013の課題

課題

 移動ロボットがつくば市内の遊歩道や広場を走行して、複数の探索エリアで、決められた服装の人間を見つけてくること。

 

会場

つくば駅近辺(大清水公園~ペデストリアンデッキ~つくばセンター広場)

 

課題コース・探索エリア

  1. ロボットは、決められたスタート点から、市内の遊歩道に決められたコースを走行して、順々に指定された探索エリアを訪問し、その中を走り回って探索対象の人間を発見する。ロボットは必要な探索が終わったら決められたコースに沿ってゴール点まで走行する。
  2. 2013 年のスタート点とゴール点は、いずれも大清水公園の南端部(つくばカピオの正面広場付近)とし、つくば市内の遊歩道、つくばセンター広場、および、大清水公園にコースを設定する。
  3. 探索エリアは複数とし、各探索エリアを、
    第1探索エリア:つくばセンター広場、ライトオン前周辺
    第2探索エリア:つくばセンター広場、フォーラム周辺
    第3探索エリア:大清水公園
    に設定する
  4. ロボットが走行すべき距離は、探索のための走行を除いて約1.23km以上である。

(注)「探索エリアを通り…」の条件について
探索エリア毎に入り口と出口のラインを定め、ロボットがそのラインを通過することをもって、探索エリアを通ったと判定する。

 

持ち時間

ロボットの走行の持ち時間はスタート後90分とする。
(注:ロボットの持ち時間は変更になりました。(2013/5/23))

 

コース地図

コース地図
つくばチャレンジ2013 課題コースと探索エリア
(図をクリックすると拡大できます)
(※2013/6/10修正。コースの説明を若干変更します。)

 

探索対象

1.探索対象の人

 探索対象とする人間は、原則として椅子に座っていることとするが、時間と共に移動することはある。(夏は日向を避けたり、秋は強風を避けたりするためにも移動する。)また、安全管理者を兼ねる場合があり、この場合は若干歩いて移動する。が、頻繁な動きは避けるものとする。探索対象の人は、予め決められた目立った色のジャンパーや帽子のほか、2013年度は安全用の回帰反射テープの貼ってあるジャケットを着用することとし、探索対象の人の服装は予め公表する。
 同一の探索エリアに複数の探索対象のいる場合は、各々異なる帽子やジャケットを着用することとする。

2.各々の探索エリアの探索対象の人数

・第1探索エリア:1人
・第2探索エリア:2人
・第3探索エリア:2人
の計5人とする。

3.探索対象を示す、パネル等

探索対象の人の脇には、立て看板、または、パネルを置く。そのデザインは予め公表する。
(注:この条件は、つくばチャレンジ2013限りの予定。)

4.探索対象を発見した時のロボットの行動

 ロボットは、対象の人を見つけたら、その人の前で3秒間以上停止して見つけたことを態度で示し、その人から確認を受ける。また、ロボットはその発見場所と時刻を記録する。

(注)運用上は、ロボットが本当に探索対象の人を見つけたか否かに拘わらず、ロボットの一部が、探索対象の人の1.5m以内のところに達して、そこで3秒間以上停止したことをもって、探索対象の人を見つけたと判断する。探索対象の人は、見つけられたと判断した時、記録を残す。
 ロボットは探索対象の発見場所と時刻を記録し、参加チームはロボットの走行終了後その記録を提出する。位置等の表現方法・フォーマットは自由とする。この情報は公開される。

 

本走行結果の公表と課題達成の認定

 つくばチャレンジは競技・競争ではないので、順位をつけることはない。
 ただし、つくばチャレンジ2013の本走行の結果は、つくばチャレンジ実行委員会で確認して、自律的に走行した区間(スタートからどこまで走行できたか)と発見した探索対象の数、および、必要なコメントを添えて公表する。また、次の2レベルについて認定証を発行し、正規の結果として記録する。

  1. 自律走行達成:探索対象(の一部または全部)が発見できなくても、スタートからゴールまで全ての探索エリアを通過するコースの自律的な走行を達成。
  2. チャレンジ課題達成:本年度の課題を完全に達成。達成チームにはつくば市長による表彰も計画されています。

(注)探索対象の発見の報告(探索対象の4.参照)における探索対象物の個数(ロボットが発見したと認識した個数)が存在する探索対象物より多い場合(すなわち、ロボットによる認識の誤りがある場合)も、すべての探索対象が発見されていれば課題達成と判定する。(ただし、誤った認識があったことは、公開される情報に含まれることになる。)

 

ロボット等の条件

1.ロボット

 参加するロボットは、バッテリーや走行機能、センサ、情報処理機能、外部との通信機能などを全て内蔵した自立ロボットとする。ロボットには、市民や環境の安全のために遵守事項として重量や走行速度(時速4km以下)、および、突起物がないなどの形状の制限が課せられる。

2.ロボットの動作(自律行動の原則)

 ロボットは、予めロボットに搭載された情報と実時間でセンサなどにより取得した環境情報にしたがって、自律的に走行する。 ロボットの開発者は、ロボットの走行開始に先立ち、ロボットのハードウェアとソフトウェア、および、必要なデータを準備してロボットに搭載する。ロボットは、走行開始後はゴール点について自ら停止するまで、開発者やオペレータのコントロールを受けることなく、完全に自律的に行動しなければならない。

3.環境(リアルワールドの原則)

 ロボットが走行する環境は、つくば市内の市民が通常使っている、あるがままの遊歩道や広場・公園の環境とする。この環境で、ロボットが走行するためにマークを配置したり物の位置を変える等の操作は一切行わないことを原則とする。走行当日の環境の状況、すなわち、天候や通行人やコース上の放置されたもの等の詳細は、予め知ることはできない。ロボットは、その状況によらず、課題を自律的に達成しなければならない。ロボットは、(市民に迷惑をかけない限り)そこに住む市民のために予め設置されている道路や標識、あるいは、設備は使うことができる。が、ロボットのために環境に何らかの準備を加えることは許されない。たとえば、ロボットの存在に無関係に準備されているGPSの信号の利用は自由であるが、ロボットのために疑似GPS をおくことは禁止される。また、公衆の携帯電話回線やWi-Fi等の公衆ネットワークサービスは利用できるが、ロボット本体上以外に環境側にルータなどの補助機器を設置することはできない。 ロボットは、既設のインターネット(クラウド)上の各種のサービスを使うことは許される。しかし、開発者やその関係者がロボットのためのサービスをインターネット上に準備することは禁止される。なお、つくばチャレンジの安全な運営のために、環境には、 実験中の看板を出したりコース管理担当者を置くなど、若干手が入る可能性があるが、それも、出来る限り避ける。

4.市民の安全の確保、および、一般の人に迷惑をかけないための方策

 走行させるロボットについて、安全のための遵守事項を定める。(この遵守事項は、ほぼ、つくばチャレンジ第1ステージのとおりである。)ロボットを走行させる時は、必ず、非常のための安全・操作要員・安全管理責任者(計2名)が随行する。 また、遵守事項では、当面、ロボットの重量の制限を100kgとするが、安全のために60kg以下を推奨する。(60kg以下なら非常時に2名で持ち上げることができるため。)

5.ロボット走行時の随行の制限

 つくばチャレンジ2013においては、本走行時には、非常時のための安全・操作要員と安全管理責任者(計2名)を除いて、ロボットに随行することを禁止する。
(注)本走行に置いては、上記2名の他はロボットから5m以内に近づいてはならない。
この条件の理由は、ロボットは自律して走行しなければならないのに、その側近に多くの見守っている人がいると自律していないように見えるからである。

6.(推奨)ロボットの位置や状況のステーションにおけるモニタリング

 スタート点付近にロボット状態モニタリングステーションを準備し、誰もがロボットの現在位置や時々刻々の状況を知ることができるようにすることを推奨する。本走行日には、それを公開するため、スタート・ゴール点付近に、モニターやディスプレイを置く机を準備する。
 ここで、ロボットとステーション間の通信は、公衆向けの携帯電話回線(3G やLTE などを含む)や、WiFi など、あるいは、一般に利用が許されている微弱電波等の通信回線を利用する。(この場合も、必要な通信基地は、モニタリングステーションにおくこと。一般の環境内に中継器等をおくことは許されない。)なお、専用の回線を用いる場合は、他のロボットや、場合によっては市民も同じ帯域の通信を利用している可能性を考慮し、他人の邪魔をして迷惑をかけないよう配慮が必要である。
 なお、このモニタ機能により、ロボットからステーションへの通信が確保されても、ステーションからロボットの動作を制御したりロボットにパラメータを送信することは許されないので注意すること。

7.(推奨)市民へのサービスの試み

 ロボットには、ロボットの存在が市民の便利につながるようなサービスの機能を搭載することを推奨する。(例として、何らかのニュースの表示、パンフレットの配布、ゴミ箱の搭載などが考えられる。)このサービス機能は、原則として何も知らない初めての市民が使うことを想定して考え、必要な機能をデザインすることが望ましい。ただし、この機能を搭載する場合は、市民の安全について一層の注意・配慮が必要である。

つくばチャレンジにおける通行人や見物者の安全の確保のための非常停止の推奨
(自律走行の原則に対する例外の取り扱い)

 市民の安全の確保を徹底するため、つくばチャレンジ2013では、本走行(及び、今後の記録走行)は以下のルールで運営します。

【重要】
通行人や見物者の安全の確保のための非常停止の推奨(自律走行の原則に対する例外の取り扱い)

 つくばチャレンジ2013の実験走行において、とくに探索行動中にロボットが予想外の動作をすることにより、通行人や見物者にたいする衝突や巻き込みのおそれが感じられることがある、との報告が届いています。
 つきましては、つくばチャレンジ走行実験(本走行も含む)においては、ロボットのオペレータは、市民等の安全確保のため、以下の操作を行って頂くようお願いします。

  1. 市民(とくに子供など)が近づいたときは、ロボットを積極的に非常停止させてください。
  2. 複数台のロボットが遭遇した場合(あるいは、ロボットが動いている他の物体と遭遇した場合)にロボットが他のロボット等を回避しようとする動作は、周りの人達にとって予想外の動作となることが考えられます。したがって、その恐れがあるときには、いずれか一方(または、双方)のロボットを一旦停止させて、動いているロボットに障害物の回避動作を行わせてください。

 これらは、市民の安全を確保することが目的です。この操作は、原理的にはロボットの自律性を損なわせることになりますが、オペレータに非常停止スイッチを押すことを躊躇させないため、自律走行の失敗とは見做さないことにします。したがって、危険な状況の終了後は、そのままの状態からロボットの行動を再開・継続させてください。

[つくばチャレンジ2013の課題に関する注意]
安全のための「自律走行の原則」に関する例外について

背景:つくばチャレンジ第2ステージにおける安全の確保についての注意

 つくばチャレンジ第1ステージ(2011年)においても、安全確保のほか、複数台のロボットの間での錯綜を避けるために、自律性の原則についての例外の取り扱いやロボット間での申し合わせを定めていた。しかし、実際にはロボットの自律的な障害物回避の能力の向上等のため、その例外や申し合わせを適用する必要はほとんど発生しなかった。
 一方、第2ステージに入ったつくばチャレンジ2013においては、広場での探索という課題のため、ロボットが周りの人(および、ほかのロボット)の予想とは反する動作をすることが少なからず存在している。また、多くの市民がいる中でのロボット同士の遭遇等もそれなりに発生し、この場合は、市民にとっては、益々、ロボットの動作の予想がつきにくくなっている。このため、つくばチャレンジ2013の実験走行においては、第1ステージに比して、ロボットが市民や一般の人を何らかの意味での危険にさらす恐れが多いと観察されている。
 つくばチャレンジにおいては、市民の安全に一回り気を配って、ロボットの開発や実験を行うことが求められている。そこで、つくばチャレンジ2013においては、つくばチャレンジの課題における「自律性の原則」等について、以下の取扱いを定めておくことにする。これは、ロボットの行動を容易化するためではなく、市民の安全の確保のためであることには留意が必要である。

1. 自律走行の原則

 つくばチャレンジ2013においてロボットに与えられるミッションは、「あるがままの環境内で、与えられたコースの走行や決められたエリア内の探索を、ロボットが自律的に行うこと。」である。
この原則により、ロボットの走行開始後、以下のケースが起こった場合はその時点でそのロボットの自律走行は失敗と判断する。

  1. オペレータがロボットに操作を加えた場合。
  2. オペレータや関係者が環境中のものや人を移動させたり、自分自身が立ったりして、ロボットから見た環境を改変し、ロボットの走行や探索を助けた場合。
  3. ロボットがコースと異なる道に入り込むなど、ミッションとしての走行や探索以外の動作を行った場合。 また、ロボットには、走行の条件として、自律行動中、「環境中の人やものを傷つけたり、危険を感じさせたりせず、また、人や環境にあるものを邪魔せず、迷惑もかけない」ことが求められる。したがって、
  4. ロボットが人にぶつかるなど、危害を加えたり、環境中のものを壊したりした場合、あるいは、危険を感じさせた場合。

は、直ちにそのロボットの走行は失敗と判断される。

2.市民の安全確保、および、そのための非常停止

 ロボットがその自律行動中に「環境中の人やものを傷つけたり、危険を感じさせたりせず、また、人や環境にあるものを邪魔せず、迷惑もかけない」ためには、ロボットは、環境とロボット自身のインタラクションを事前に十分予測し、事故や危険な事象が起こらないよう行動する必要がある。しかし、現状の技術ではこれを完全に行うことは難しい。
そこで、つくばチャレンジにおいては、市民のいる環境の中でロボットに自律的な行動をさせる実験を行うため、

  • ロボットに非常停止ボタンを準備すること、および、
  • オペレータがロボットに随走して、必要に応じてこれを停止させ、危険な事象の発生を防止すること

 を求めている。
 一方、オペレータがロボットの非常停止ボタンを操作することは、上記の「自律性の原則」に反するため、原則としては、その時点でロボットの自律行動は失敗と判断される。
 現実には、実環境で発生しうる種々の事態を事前に予測しつくすこと不可能である。したがって、「運悪く」ロボットにとって自律的に安全な走行がでず、非常停止をさせなければならないは十分に起こり得る。つくばチャレンジでは、そのようなケースは、単に運が悪かったと考える。自律的で安全なロボットの技術を開発するためには、ロボットの開発者は、このような運の悪いケースが発生する可能性を小さくする努力を進めることが必要である。

3.つくばチャレンジ2013における、安全のための「自律性の原則」に対する例外

 つくばチャレンジにおいて、ロボットの走行実験を行う上で、もっと優先するべきことは、市民、あるいは、周りにいる人たちの安全である。 しかし、現在の技術では、自律ロボットが、周りにいる人たちを完全に認識しながら、その振る舞いや自分とのインタラクションを事前に予測し、事故や危険な事象が決して起こらないよう行動することは不可能である。したがって、ロボットの自律行動の機能の開発のためには、ある程度の可能性を許容した実験条件を設定し、実験を進めながら徐々に技術レベルを上げていくことも必要である。このため、つくばチャレンジでは、若干の危険リスクがあることを意識しつつ、ロボットの自律走行あるいは自律探索行動の実験・研究を進めることとしている。
 この際の、市民の安全を担保しているのは、安全のための遵守事項、および、オペレータによる非常停止スイッチの操作である。
 しかし、非常停止スイッチの操作には若干の遅れが存在する。したがって、早めの積極的な非常停止の操作が必要である。ここで、非常停止スイッチの操作をロボットの自律行動の失敗と見做すと、オペレータにその操作を躊躇させる恐れが発生するので、それに対処しておく必要がある。
 また、ロボットが探索中に他のロボットと遭遇した場合等には、ロボットが自律的に動的障害物を回避しようとする動作が、市民や見物人の予想と大きく異なることがあるが、それは、市民を危険にさらす原因となりうる。これをあらかじめ避けるためには、市民や見物人がいる環境では、ロボットが市民等から見て予想外の動作をすることをできるだけ防ぐ必要がある。そのための一方法は、遭遇したロボットのうち何台かを一旦停止させ。動いているロボットの数を減らすことである。
 これらの理由により、つくばチャレンジ2013では、非常停止スイッチの操作について、「自律性の原則」に以下の例外を設けて運用することにする。

  • 例外1: 緊急的な危険のおそれが察知された時、停止ボタンによりロボットを停止させること。ロボットには、危険な状況が解決した後に、行動を再開させる。
  • 例外2:とくに探索エリアにおいて、複数台のロボットが遭遇(あるいは、ロボットが動いている他の物体と遭遇)した場合、いずれか一方(または、双方)のロボットを一旦非常停止させること。この場合、動いているロボットが回避行動を行い、予想外の動作をするおそれがなくなった時点で、停止したロボットの行動を再開・継続させる。