注意事項等

通行人や見物者の安全の確保のための非常停止について
(「自律走行の原則」に対する例外の取り扱い)

 市民の安全の確保を徹底するため、本走行(及び記録走行)におけるロボットの非常停止スイッチの操作を、次のとおり運用する。

[1] 市民の安全確保、およびそのための非常停止

 つくばチャレンジでは、市民のいる環境の中でロボットに自律的な走行をさせる実験を行うため、

  ・ロボットに非常停止ボタンを準備すること
  ・オペレータがロボットに随走して、オペレータが危険を察知した時は、直ちにこれを停止させ、危険な事象の発生を防止する

ことを求める。ただし、オペレータがロボットの非常停止ボタンを操作することは、「自律走行の原則」に反するため、原則としては、その時点でロボットの自律走行は「失敗」と判断される。

[2] 安全のための「自律走行の原則」に対する例外の取り扱い

 ロボットの走行実験を行う上でもっとも優先するべきことは、市民あるいは周りにいる人たちの安全である。そのためには早めの積極的な非常停止の操作が必要な場合がある。しかし、ここで非常停止スイッチの操作をロボットの自律行動の失敗と判断することにすると、オペレータにその操作を躊躇させる恐れが発生する。
 そこで、本走行(および、記録走行)においては、オペレータが危険のおそれを察知して、停止スイッチによりロボットを停止させた場合は、「自律走行の原則」の例外として取り扱い、走行を継続を認める。この場合、その停止がやむを得なかったか、及び自律走行達成の成否については、走行終了後に判断することとする。

 

推奨する事項

[1] ロボットの位置や状況のステーションにおけるモニタリング(強く推奨)

 つくばチャレンジでは、ロボットは自ら自律的に走行する技術を追求する。しかし、ロボットが自律的に行動するとしても、ロボットがどこでどのような状態にあるかは、遠隔ステーションで常時知ることができることが望まれる。そこで、つくばチャレンジにおいては、その機能をロボットに持たせることを推奨する。

 その機能を示すため、スタート点付近に、誰もがロボットの現在位置や時々刻々の状況を知ることができるロボット状態モニタリングステーションを設置することを推奨する。実験走行、および本走行日には、スタート・ゴール点付近に、そのためのモニタやディスプレイを置く机を準備する。
 ここで、ロボットとステーション間の通信は、公衆向けの携帯電話回線(3G やLTE などを含む)や、WiFiなど、あるいは一般に利用が許されている微弱電波等の通信回線を利用する。(この場合も必要な通信基地は、モニタリングステーションにおくこと。一般の環境内に中継器等をおくことは許されない。)なおWiFi等の回線を用いる場合は、他のロボットや場合によっては市民も同じ帯域の通信を利用している可能性を考慮し、他人の邪魔をして迷惑をかけないよう配慮が必要である。

 なお、このモニタ機能により、ロボットからステーションへの通信が確保されても、ステーションからロボットの動作を制御したりロボットにパラメータを送信したりすることは許されないので注意すること。

[2] 市民へのサービスの試み

 ロボットには、ロボットの存在が市民の便利につながるようなサービスの機能を搭載することを推奨する。(例として、何らかのニュースの表示、パンフレットの配布、ゴミ箱の搭載などが考えられる。)このサービス機能は、原則として何も知らない初めての市民が使うことを想定して考え、必要な機能をデザインすることが望ましい。ただしこの機能を搭載する場合は、市民の安全について一層の注意・配慮が必要である。

[3]つくばチャレンジの場を利用した実験や実証

 つくばチャレンジでは、参加するチームは原則として、課題を達成することを目的としてロボットを開発し、実験を行っている。しかし、各チームが、その課題達成という目的の背景として、または、課題達成とは独立の研究開発のテーマを持つことは大いに推奨される。この場合、つくばチャレンジは、その研究開発のための実験・実証の場として使われることになる。つくばチャレンジは、市民への迷惑や、他チームの実験の妨げとならない限り、運営上これを支援することとする。 

 また、つくばチャレンジは、多くのロボットに実世界で行動させる実験を行っている場であり、新しいロボットの考え方や要素技術を評価する優れた機会となり得る。従来から参加チーム以外の組織が、例えば、新しい測域センサを参加チームに提供してその有効性を検証し評価する、などが行われてきているが、つくばチャレンジでは、更に、参加チームに限らずいろいろな機関が、この場を活かして、要素技術等の実証評価や検証を行う活動を推奨し、その実施に協力する。